独眼流サプリメント大全

各種サプリメント・栄養素に関する情報を管理人独自の視点でまとめています。

大麦若葉に含まれている栄養素とその効果まとめ

●そもそも大麦とは?

大麦はイネ科オオムギ属の植物の事です。原産は東南アジア(イラン等)とされており、現在より1万年前から栽培されてきたと考えられています。実際に古代エジプト時代においては、既に主食であるパンやビールの原料に使われているなど、古くから利用されてきたと言われています。

当の日本においては弥生時代の3世紀頃に中国経由で伝わったのが最初とされ、奈良時代鎌倉時代には既に全国的に栽培されていたようです。通常のコメの生産量がまだまだ上がらなかった時代では、米の嵩増しとしても重宝され、麦類と米を混ぜたいわゆる「麦飯」が主食として広く浸透していました。しかしその一方、麦類は貧民の食事とされ、白米への強い憧れから、麦類を避ける傾向も強くなったようです。それによりビタミンB1の不足が原因となる「脚気」の蔓延に繋がったとも言われています。その白米への強い信仰は第二次世界大戦中の兵士へも適用されており、脚気が原因で数千人の死者を出す事になったそうです。

 

●大麦に含まれている栄養素

大麦に含まれている栄養素としては糖、蛋白質ナイアシン、ビタミンB6、亜鉛、銅、食物繊維などが挙げられます。全粒粉では栄養価が高くなります。また大麦は穀類なので、糖質が豊富に含まれていますが、それ以外では突出している部分はありません。その他、通常の白米と比較すると、大麦の方が蛋白質・ミネラル・食物繊維が僅かに多い程度であり、全体的な栄養価もそれほど大きく変わりません。

一方、大麦の品種の中には果実と外側の皮が癒着していない「ハダカムギ」という品種があり、その中には「もち麦(イネで言うもち米の事)」と呼ばれる非常に粘り気の強いものがあります。このハダカムギは栄養価自体は通常の大麦と変わりませんが、含まれているアミロペクチン(デンプンの一種)の影響で、糖としての消化・吸収が非常に良く、腸内環境を整えてくれる作用があると言われています。エネルギー補給としては非常に有用な食品と言えます。

 

●大麦の若葉に含まれている栄養素

大麦若葉は栄養価が高いとされており、サプリメントあるいは青汁などの飲み物としてよく知られています。

これは私がネットで調べた限りですが、一応この『山本漢方製薬の大麦若葉成分表』というページを見れば、大麦若葉の成分が大体分かります。ただし栄養成分を考える場合には「100g当たり」が基本です。その成分表では大麦若葉粉末3g当たりの栄養価なので、それをだいたい33~34倍すれば他の植物性の食品と比較できます。また私は読んでいませんが、「大麦若葉のすごい力!」という本にも大麦若葉粉末の成分表が載っているそうで(参考→別サイト)、そこでも100g当たりの成分が分かります。

一応、他にも大麦若葉の栄養価について調べてみましたが、大抵の場合、「他と比べて何倍も含まれている!!」という事が書かれているだけでした・・・他の食品や商品と比較ができるという事は、当然大麦若葉の具体的な成分分析を行っているはずなのですが、何故かそれが掲載されていない事の方が多く、具体的に何が何mgと書いてある所は殆どない印象を持ちました。更に例え何mgと書いていたとしても、敢えてmg表記をして多く見せていたり(1g=1000mg、1mg=1000μg)、日本製という事を謳っているのに生産は中国だったり・・・なんて事もありましたね。まぁどことは言いませんが(笑)

 

まぁとにかく上記リンクにある情報が正しければ、大麦若葉には確かにほぼ全てのビタミンとミネラルが含まれており、特にミネラルでは「100g当たりであれば、1日に必要な摂取量の半分前後の含有量がある(それぞれの栄養素の必要摂取量については過去記事参照の事)」という形になっています。特にそれらの中では蛋白質、β-カロテン、食物繊維、葉酸、ビタミンK、カリウム、鉄が突出して多くなっており、それらの内、β-カロテン、食物繊維、葉酸、ビタミンK、カリウム、鉄においては、1日の摂取目安を遥かに超えるほどの高い含有量があるようです。

実際、それらを他の植物性の食品と比較してみると、例えば蛋白質は大豆と同等程度、鉄はゴマの4倍以上、β-カロテンは人参の2倍、葉酸はホウレンソウと同程度、ビタミンKはホウレンソウの10倍以上となり、それらの栄養素は確かに「多く含まれるとされる食品」よりも多く含まれているようです。これらの点は広告されている他のサイトでも謳われている通りで、確かに大麦若葉は栄養価の高い食品のようです。

 

大麦若葉の欠点について考える

大麦若葉の欠点として挙げられるのはまずビタミンEの含有量です。1日に100gの大麦若葉を摂取しても、1日に必要な量の1/3以下しか摂取できません。またビタミンCに関してもレモンと同程度~2倍程度であり、そこまで突出してはいません。特にビタミンB群やビタミンCのような水溶性ビタミンは、体の中に長期間蓄えておく事ができません。もちろん摂取しないよりは良いでしょうが、一度に摂取するよりも、小分けにして摂取した方が効率良く吸収できます。つまりどうせ毎食時に水溶性ビタミンを摂取する事になる訳ですから、それならばマルチビタミンサプリメントの方が効率が良いと思います。よって、ビタミンを補給するためにわざわざ大麦若葉を利用するメリットはありません。

また大麦若葉に含まれている蛋白質。確かに高蛋白なのですが、蛋白質の元々の必要量が多いため、大麦若葉だけでは足りない可能性があります。例えば30gのプロテインを毎食時に飲むのと、大麦若葉粉末を毎食時に100gずつ飲むのと、大豆100gを毎食時に食べるのとでは、いずれもあまり大差がなく、多いと言っても所詮はその程度なのです。更に動物性の食品と比べ、蛋白質を構成する必須アミノ酸のバランスも劣っている可能性が高いです。それならプロテインの方が断然良いと思います。

この他、ミネラルが豊富とされている大麦若葉ですが、マグネシウム、カルシウム、亜鉛に関しては、大麦若葉だけでは必要量を賄いきれません。特にカルシウムは元々の必要量が多いため、大麦若葉だけでは不足する可能性が高いです。それらに関しても別途補給が必要になるでしょう。大麦若葉は「スーパーフード」とも呼ばれる事がありますが、このように完璧ではありません。注意深く見れば穴だらけです。

 

●よく考えてから利用しよう

相変わらず否定ばかりしていますが、何故このように書いているのかというと、「スーパーフード」と聞くと、それを食べるだけで健康が得られるかのように考えてしまう人があまりに多いからです。健康に良いからと安易に飛びつくのではなく、自分の生活習慣に合わせ、利用する量はもちろん、利用するかしないかを自分の意思で決めるべきです。もちろんそのためには必須栄養素に関する最低限の知識は身につけておく必要があります。

特に大麦若葉は一般の人でもよく目にするものです。多くのメディアで広告されているという事は、その広告で稼げているという事です。稼げるという事は、稼ぐための表現を使っているという事です。その表現は大抵誇張されています。前述したように、どの栄養素がどの程度含まれていて、その栄養素には具体的にどのような役割があるのかという情報は二の次にされる事が多いのです。そうやって色々ツッコミ所を探しながら広告を見るのも楽しいと思いますよ(笑)

最後になりますが、青汁と牛乳を混ぜると意外と美味しいです。栄養摂取の事だけを考えていたら、食習慣が不自由になってしまいますから、変化をつけるという意味では大麦若葉を利用するのはありだと思います。

★オススメの商品一覧★

※ランダムに表示されています。