モリンガに含まれている栄養素とその効果まとめ

●モリンガとはどういう食品？

モリンガとは、ワサビノキ科ワサビノキ属の植物であるワサビノキ（Moringa oleifera）の事です。特にモリンガの根の味が西洋ワサビに似ている事から西洋ワサビの木、鞘の外観からドラムスティックの木などとも呼ばれます。

原産はインドなど南アジアの熱帯地域とされており、成長が早く、干ばつや病気に強い植物です。一方、寒さには弱いため、日本では九州や沖縄などの一部地域で限定的に栽培されるのみとなっています。尚、モリンガで食用にされるのは葉、根、種、鞘など、また種や鞘からはベンオイルと呼ばれる油（飽和脂肪酸であるベヘン酸を含む）を抽出する事ができます。

●モリンガに含まれている栄養素

モリンガの葉は栄養価が高いとされており、β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンK、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、食物繊維などの栄養素が、いずれも豊富に含まれていると言われています。この栄養価の高さからスーパーフードとも呼ばれます。

特にこれらの中ではビタミンB6が非常に秀でており、100gのモリンガを食べると、それだけで1日に必要な量を摂取できると言われています。植物性の食品の中でもビタミンB6を多く含むのは珍しく、モリンガ以外で多く含んでいるのは唐辛子やニンニクぐらいです。それ以外では全般として動物性の食品に多く含まれているビタミンなので、これがモリンガにおける最大の特徴と言えるでしょう。

またモリンガでは鞘や種も栄養価が高いとされています。特に鞘と種は葉よりもビタミンCが豊富に含まれている他、鞘では各種ミネラル、種では各種ミネラルやビタミンB群も含まれているとされています。

一方、根に関する情報は多くありませんが、ポリフェノール類が豊富に含まれていると言われています。その代わりに癖が強く、それが前述したように「ワサビノキ」という名前の由来にもなっており、基本的に根の方は調味料として利用されます。ちなみに葉の方は癖がなく、モリンガの葉を使ったお茶は、まさしくお茶（商品にもよるが抹茶に近い）の味がするようです。

●モリンガの欠点を考える

モリンガの葉の欠点を挙げるとすれば、まずビタミンB6の過剰摂取です。ビタミンB6は水溶性ビタミンですし、そもそも過剰摂取できるほどビタミンB6が豊富な食品自体が珍しいので、通常は心配の必要はありません。しかしモリンガではあまりに高い含有量から、サプリメントを利用する場合、そのリスクがあると思われます。特にビタミンB6は神経伝達物質の合成に使われているため、過剰摂取によって何らかの神経症状が出る可能性がゼロではありません。サプリメントを利用する場合、念の為用法用量は守りましょう。

またモリンガの葉ではミネラルの一種である亜鉛が欠けています。亜鉛は成長ホルモンの分泌や蛋白質の合成に関わる重要なミネラルであり、発汗や運動量が増えると必要量が増えます。牛肉やナッツ類を食べるか、別途サプリメントを利用して補給する必要があるでしょう。更にモリンガの葉では糖・蛋白質・脂肪の量も欠けており、エネルギーがありません。全く含まれていない訳ではありませんが、運動量や筋肉量が多い場合、モリンガだけではエネルギー不足になる可能性があり、それに関しても別途補給が必要です。

その他、注意すべきなのは前述した葉や鞘での栄養価の高さは「100g当たり」だという事です。100gのモリンガの葉や鞘を食べようとした場合、かなりの量になります。またサプリメントの場合でも、それなりの量を摂取しなければなりません。それならマルチビタミン・ミネラルのサプリメントを利用した方が手軽です。そのためモリンガはあくまで栄養補給の手段の一つとして考えるべきでしょう。

●モリンガの摂取方法

モリンガの葉や鞘には水溶性ビタミンが豊富に含まれています。錠剤、カプセル、粉末、あるいは葉や鞘をそのままの状態で利用する場合、毎食時に小分けにして摂取するようにすると、水溶性ビタミンを効率良く摂取できます。「健康に良い」からと言って、一度に何十錠、あるいは1日に何十粒も飲むような極端な事はすべきではありません。尚、前述のようにサプリメントの場合でも、モリンガの栄養価を得るにはそれなりの量を摂取する必要があります。それならマルチビタミン・ミネラルの方が効率が良いです。やはりモリンガはあくまで栄養補給の一つの手段として扱いましょう。

これはモリンガの葉から作るお茶の場合も同じ事です。1日に何十杯というような無理な飲み方はすべきではありません。特に高濃度の粉末を飲み物などに溶かして飲む場合、稀にですが、人によっては下痢をする事もあるようです。モリンガだけで健康になれるなどと安易に考えるべきではありません。

ちなみにお茶として葉から煮出す場合、あまりに高温だとビタミンCが失われてしまいます。少し低めの温度で時間をかけて煮出すか、葉を粉末状にしたり、あるいは最初から粉末状のものをそのまま飲み物に溶かすと良いでしょう。あるいは粉末を料理に混ぜて食べるのも良いと思われます。