ビタミンB6の効果と摂取方法まとめ
ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)は、アミノ酸の代謝に深く関与するビタミンです。殆どのアミノ酸の代謝にはこのビタミンB6が関与していると言われており、人体にとってなくてはならない栄養素の一つです。
特に新陳代謝の過程では必ずアンモニアができます。アンモニアは「脱アミノ化」という蛋白質及びアミノ酸を分解する過程で作られ、その反応において利用される補酵素がこのビタミンB6です。また脱アミノ化されたアミノ酸の残りは、糖の代わりにエネルギーとなる「糖新生」にも使われています。このためビタミンB6には糖新生をスムーズにする役割もあり、食事制限及び糖質制限中に必要量が増えます。尚、アンモニアは肝臓内にある尿素回路で尿素に分解され、その後腎臓へ送られて尿として排出されます。その反応にはオルニチン・シトルリン・アルギニンというアミノ酸が深く関与しています。
更にビタミンB6はアミノ酸から作られる神経伝達物質の代謝にも深く関与しています。例えばトリプトファン(必須アミノ酸)から作られるセロトニンは、心身を活性化させ、精神状態を安定化させる役割を持っていますが、そのような神経伝達物質の代謝にはこのビタミンB6が必要と言われています。そのため不足すると、ストレスに対して過敏になり、精神状態が不安定になる事があります。またビタミンB6は赤血球の合成にも必要です。赤血球もアミノ酸などから作られていますが、その合成は非常に活発です。このためビタミンB6が不足すると貧血になる事もあります。
その他、ビタミンB6はアレルギー・炎症反応に関与するヒスタミンの合成、ホモシステイン(過剰に増殖すると脂肪酸と結合し、酸化、動脈硬化の原因になると言われている)からシステイン(アミノ酸で蛋白質の構造を維持する役割がある)の合成、トリプトファンからナイアシン(ビタミンB群)を合成する際の反応にも関与しています。特にナイアシンはエネルギー代謝の補酵素として重要なため、仮にビタミンB6が不足する事でナイアシンの合成が上手くできなくなれば、エネルギー代謝全体にも悪影響を及ぼします。
そんなビタミンB6を多く含む食品としては肉と魚が代表的です。例えば豚肉・牛肉・鶏肉、マグロ、カツオ、豚・牛レバー、サケ、イワシ、サンマなどが挙げられます。ビタミンB6は水溶性ですが、熱に弱いとされています。もちろん加熱した肉や魚でも摂取はできますが、より効率良く摂取するためには生魚(寿司)がオススメです。またビタミンB6は腸内細菌によって体の中から補う事もできます。つまり食物繊維も重要な摂取源になります。ただし腸内だけでは不十分なため、あくまで食品からの摂取を基本とします。
ちなみにビタミンB6にはサプリメントもあります。運動量が多く、筋肉量が多い場合、食品と腸内だけでは不足する人もおり、その場合にはサプリメントを利用しましょう。中には吸収率が良いされる誘導体(ピリドキサルリン酸等)もあり、それを利用するのも一つの手です。もしサプリメントを利用する場合、1日数10mgが目安です。上限は定められていませんが、前述のように神経伝達に関与しているため、過剰摂取すると神経症状が出る事があるようです。1日数十粒も飲むなど極端な摂取の仕方はすべきではありません。
尚、銀杏に含まれる「ギンコトキシン」という成分は、このビタミンB6の吸収を阻害します。たくさん食べるのは避けた方が良いでしょう。